株主・投資家の皆様へ

代表取締役 糸井重里
ある人に、「ほぼ日」って、
農業に似てるね、と言われました。

それは、実は、ぼくも意識していたことです。
産業としてはちがうのですけれど、
仕事の考え方や育て方では似ているかもしれません。

吉本隆明さんが、
言語を、ひとつの樹木に喩えていました。
まず根があって幹があり、枝が伸び、葉が繁り、
やがて花が咲き、実を結ぶ。
美しく見えるのは花で、よろこばれるのは実だけれど、
その樹木の実体は、根であり幹なんだよ、と。
土の中の根さえ枯れてなければ樹木は死んでないし、
いつでも、また葉をつけ花を咲かせられるし、
栄養があっておいしい果実をつけられる。
言葉の根っこというのは、
言語になる以前の「思いのようなもの」で、
そこのところこそが大事なのだと、
ぼくはそんなふうに理解して聞きました。

いろんなものごとを考えるのに、
この「根っこ理論」は基礎になっています。
もちろん事業も、そういう考えを大事にしています。
そうすると、種を蒔き根を生やす前にも、
土地(場)を手に入れるとか、
荒れ地なら石ころをどかすとか、
固い土を耕してふかふかにするとか、
人手を頼んで協力しあうことが必要になります。
農業の前の仕事としての、開拓の仕事でしょうかね。
こういう時間、こういう見えにくい仕事を、
しっかり手を抜かずにやることこそが、
「ほぼ日」には絶対に必要なことです。

見えるのは花ですし、よろこばれるのは果実ですが、
それを生み出すための根を
豊かに張らせる仕事こそが、ぼくらの仕事です。

  「ほぼ日」の青々とした葉、花や実を、
たのしんでいただきたいのはもちろんなのですが、
それができるまでの時間や、
土の中にあって見えない根の張り具合を、
ぜひ見守っていただければとお願いします。

こんなことをあえて言っているということは、
ここ一年ほどで、実は、かなり豊かに
根が育ってきているという自信ができたからです。
確実に、「ほぼ日」の果樹園は成長しています。
どうぞ、おたのしみに。

夢に手足を。

代表取締役社長 糸井重里