株主・投資家の皆様へ

代表取締役 糸井重里
なぜ「やさしく、つよく、おもしろく。」なのか。

いつも、あんまりビジネスっぽいことを
ビジネスっぽいことばで書くのは苦手なのですが、
今年はさらにビジネスっぽくないようなことを書きます。

いつからか、「ほぼ日」の行動指針として、
「やさしく、つよく、おもしろく。」
ということばを掲げてきました。
これについての説明は「企業情報」に記されていますが、
今年になってから、いままで以上に確信をもって、
このことばを大事にしたいと考えるようになりました。

「ほぼ日の學校」でもお話していただいた
農学博士(雑草生態学)の稲垣栄洋先生がその著書
『はずれ者が進化をつくる』で教えてくれたのですが、
動物として体力的に弱いものだった
わたしたち(ホモ・サピエンス)の祖先が、
どうして今日まで生き残れたのかというと、
「助け合うという能力」を発揮できたからだというのです。

「やさしく」とは「思いやり」です。
相手がいて、わたしがある、ということ。
それを意識している人は「やさしく」できる。
つまり「助け合う」ことの大切さが
「やさしく」としてあらわれるのですね。

「つよく」は助け合うのに必要な
「力(技術と信頼)」を鍛えることかもしれません。
「助ける」のにも「力」がなければ共倒れするだけです。

そして「おもしろく」とは「可能性=多様性」です。
同じものばかりが集まっていくと、あるいは、
同じことを続けすぎていくと、それは滅びに至ります。
そういう予感が「飽きる(おもしろくない)」でしょう。
「おもしろく」とは変化であり、新奇のことだと思います。

人間が生き残ってきた理由とは、まさしく
「やさしく、つよく、おもしろく。」だったのです。
わたしたち「ほぼ日」が、現在を生きるのにも、
この先の未来に生き続けていくのにも、あらためて、
このことばが大きなカギになると思っています。

もちろん、いまも発展の途上ですが、
チームとしての人格が、知力と体力が、交流が、
「やさしく、つよく、おもしろく。」育ってきています。
どの要素についても、まだ足りないことは承知のうえで、
いつでも若々しい会社として育っていこうと思います。
社会の「助け合うホモ・サピエンス」のなかまとして、
さらに頼られるようになりたいものです。
どうぞ、これをお読みの方々も、
その環に加わって手を貸していただけましたら幸いです。

代表取締役社長 糸井重里