社長あいさつ

糸井重里

糸井重里です。
株式会社「ほぼ日」のことを、
お伝えしてみます。

「ほぼ日」って、
どういう会社ですか?

「ほぼ日」って、どういう会社ですか。
あるいは、「ほぼ日」ってなにをしている会社ですか。
それについては、これまでも
たくさん訊かれてきましたし、
これからも、ずっと訊かれ続けると思います。
そう訊きたがる人たちの気持ちは、よくわかります。
「なんだかよくわからない会社」のままでは、
気味がわるいし応援しようがないですものね。
だから、その質問には、いつも、
なんとか答えようとしてきています。
でも、その都度、ちゃんと答えられたような気がしてない。

昔、ビートルズのことを書いた新聞記事に、
「英国生まれの四人組コーラスグループ」と記されていて、
そういえばそうかもしれないけど、
そんなんじゃないよ、と思ったことがありました。
なんか、その気持ちにちょっと似ています。

ひとつひとつの仕事を見てもらうことや、
たのしんでもらうことが、
「ほぼ日」という会社を説明する
いちばんの方法なのかもしれませんが、
それ以外にも、ことあるごとに
説明する努力は続けていきたいと考えています。

法人=人として、
どうありたいのか。

いま、社名を変えたばかりのいま、
「ほぼ日」という会社を語るのに、
なにをいちばん言っておきたいかといえば、
まずひとつは、なんでしょう、その、
「法人」ということについてかなぁ。

「法人」というのは、会社のことを考えたり、
行動していくのにとても都合のいいことばだと思うのです。
「人」と見なしているんですよね、組織を。
だから、「ほぼ日」という「法人」が、
どういう人でありたいのかが大事になります。

ずるいことはしないとか、うそをつきたくないとか、
できるだけ前向きでありたいとか、
なんでもたのしんでやりたいとか、
いつも感謝をするものでありたいとか‥‥。
だれでも、じぶんなりの倫理みたいなものを持ってます。
で、法人も、人なのだから‥‥持っているはずです。
つまり、人としてどうありたいかということと、
「ほぼ日」という会社がどうありたいかが、
重なっているようにしたいわけです。

やさしく、つよく、おもしろく。」は、
「ほぼ日」の乗組員たちの行動指針ですが、
同時にそれが「ほぼ日」という「法人」の
人格であるようにしたいのです。
そういう人でないと、
人にもよろこんでもらえないだろうし、
なにより、じぶんたちもよろこべないと思うからです。

なにをして
よろこばれるのだろう。

「ほぼ日」をはじめてすぐのころには、
「クリエイティブがイニシアティブをとる」と、
そういう仕事をするんだと意気込んでいました。
いまにして思えば、ずいぶんつっぱった言い方ですね。
でも、「ほぼ日」の根本のところは、
これまでも、いまも、これからも、
ずっと同じじゃないかなぁと考えています。

ぼくは、「いいこと考えた!」が、
クリエイティブの正体なのだと思います。
考えた「いいこと」を、
みんながよろこんでくれるようなかたちにして、
どんどん送り出していく。
それが広がったり伝わったりしていくうちに、
さらに、「いいこと考えた」が育っていく。
そんな場が「ほぼ日」によってつくられてきました。
「いいこと」に手を貸してくれる人も、
その「いいこと」をたのしんでくれる人も、
また、新しい「いいこと」を育ててくれるようになる。
こういった循環をつくることが、
「ほぼ日」の仕事です。
ほぼ日手帳だって、対談だって、ドコノコだって、
気仙沼での活動だって、みんなそうです。

夢に手足を。」ということばは、
「いいこと考えて、それを現実(ほんと)にしようよ」と、
言い換えられるのではないでしょうか。
ニュートンだって、アインシュタインだって、
エジソンだって、夏目漱石だって、ピカソだって、
どこかで「いいこと考えた!」のですし、
それを、ホントに表現や実行というかたちにしたのです。
人びとは、それをよろこんでくれる。
人によろこばれることは、必ず仕事になります。
そうです、いままでもずっと、そしてこれからも、
「ほぼ日」は、クリエイティブでめしを食っています。

いま、「社長あいさつ」として、
言えるのはこんなところです。
これからも、ときどきこの欄は、
書き足して増やしていこうと思います。
どうぞ、よろしくお願いします。
また、読みにきてください。

ありがとうございました。


(2016年12月1日)